蝶々夫人@Metropolitan Opera
2007年 10月 23日
以前、メトロポリタンオペラで上演された「ニーベルンゲンの指環」のDVDを見て、その舞台のセット及び衣装のゴージャスさに驚いて以来、ここでの鑑賞にあこがれていました。
そして先日、ようやく足を踏み入れることができました! 演目は「蝶々夫人 Madama Butterfly」です。
ステージは、基本的に障子で内と外を分けるというシンプルな構成ながら、随所に工夫が凝らされていて、さすが〜、と思わずため息が出そうになるほどでした。蝶々さんの息子役を演じるのは、なんと文楽をベースにしたお人形! 夜11時20分までという遅い上演のため、子役を起用できないのかもしれませんが、1つの人形を動かすのに、人形使いの黒子が3人、ですよ〜。花吹雪や照明にも日本趣味(一部、中国風だったり韓国風だったりしますが)が反映されていて、衣装の色彩も非常に鮮やかでした。
私にとって、この演目は今回が初めて。日本人の芸者の話なんて、、とそのジャポネスクを嫌がっていたのですが、蝶々さんの”夫”、不実でやや軽薄なピンカートンは米国人なんですね。しかも、ピンカートンが登場する場面には、米国歌が挿入されていたりもして、そんなとき、ちょっと居心地が悪くなるのは、アメリカ人も同じなのかも。
私の隣の席の女性は、蝶々夫人が大好きな人だったらしく、アリアでは一緒に歌詞を口ずさみ(もちろんイタリア語)、夫を気丈に待ち続けた蝶々さんが絶望するシーンから悲劇のエンディングまでは、折あるごとにすすり泣き。衝撃的な場面では、胸の前で手を組んだり……、つい、舞台の上より、お隣の反応のほうが気になってしまいました。それだけその世界に入り込めるオペラがあるなんて、うらやましいな。
ちなみに、メトロポリタンオペラの座席予約を見ていると、こちらではドイツオペラよりイタリアオペラのほうが圧倒的に人気が高いようです。「魔笛」ですらあまり人気がないみたい。。ウィーンでは当然ドイツオペラばかり見ていたので、イタリアものを重点的に鑑賞する、いいチャンスになりそうです。